企業は、常に変化していく外部環境にさらされる中で、それにあわせた打ち手を考えて実行していく必要があります。この記事では、その戦略の第一歩として、経営理念とビジョンについて解説します。いずれも経営活動を構成する重要要素です。しっかり確認しましょう。
Guide Line
1. 経営活動を構成する要素
経営理念やビジョンについて触れる前に、まずは、経営活動を構成する要素について確認しましょう。経営活動を構成する要素は、大きく分けると4つに分類することができます。
経営理念:その企業の存在意義や目的
ビジョン:企業の望ましい将来像
経営戦略:ビジョンを達成するための戦略
経営計画:経営戦略をより具体化したもの
これら経営活動を構成する要素は、この記事の扉絵にあるように、ピラミッド型の階層構造になります。トップにある経営理念が一番重要であり、下に行くほど個別具体的になります。
2. 経営理念とビジョンとは?
この記事では、経営活動の構成要素のトップ1、2である経営理念とビジョンについて取り上げます。この2つはよく混同しますが、しっかりと区別しましょう。
1. 経営理念とは
経営理念は、その企業の存在意義や目的です。世の中には星の数ほどの企業があり、自身が経営する企業と同じような業を営む企業もまた数えきれないほどあるかもしれません。そのような外部環境の中で、自社のアイデンティティーを確立してそれを表明するとともに、その背後には他社との差別化を図るのがこの経営理念となります。
経営理念という言い方の他に、企業理念であったり、社是やミッションであったり、様々な言い方をすることもあります。呼び方は様々であっても、そこに含めた思いが共感をよぶものであることが重要です。
経営理念は外部に対する自社のアイデンティティーの表明としてだけではなく、企業内部にとっても、次の点で役立ちます。
社員のモチベーションの向上として
社内コミュニケーションのベースとして
社員による判断の際の基準として
社員が、共感する理念の下で、同じ志を持つ仲間と強調し、日々の業務の意思決定の際に企業の理念を判断のよりどころとして、経営理念が役立つところとなります。経営理念はまさに会社の屋根であり、その下に仲間が集うのです。
2. ビジョンとは
経営理念がその企業の存在意義であったのに対し、ビジョンは、企業の将来像です。例えば、「設立後3年以内に売上10億円を達成する」「サービス利用者数100万人を目指す」など具体的な数字で表明されることもよくあります。
ビジョンは、外部環境における企業のポジションや時代に合わせて変えていくものです。
企業が実現したい未来像を外部に表明するとともに、社内にとっても経営戦略や経営計画を策定する中でベースとするものになりますので、具体的なものであるほどよいでしょう。
3. 組織文化との違い
さて、ここまで経営理念とビジョンと、企業経営を構成する要素を確認しました。ここで、構成要素の中には含めていませんが重要なこととして組織文化を取り上げます。
組織文化とは、その企業の社員間における雰囲気や考え方です。
まったく同一の事業、経営理念、ビジョンを掲げている会社であっても、構成する従業員が異なれば、そこには別の組織文化が芽生えます。そして、経営理念やビジョンとは異なり、定めなくても勝手に生じてくるものです。
よく「この企業は社内の風通しがよい(もしくは悪い)」などといいますが、その背景として組織文化が関係していることが多々あります。その影響力は大きいため、中には、立派な経営理念やビジョンを定めていても、それが組織にまったく浸透していない企業もあります。
この原因は、経営陣が組織文化を感じとれていないことにあります。経営理念やビジョンは、主に、経営者が中心となって決めるものですが、一方で、組織文化は従業員も含めた社員全員で作り上げるものだからです。
このような状況では、経営理念やビジョンはただのスローガンとなってしまいます。しっかりとコミュニケーションをとり、時間をかけて浸透させることが必要です。
以上、経営活動を構成する要素のうち、経営理念とビジョンについて解説しました。経営理念は会社の屋根であり、その下に同じ思いを持つ仲間が集い、そしてビジョンに向かってともに進んでいくこととなりますから、とても重要なものです。起業するにあたって、理念やビジョンを言語化することになりますが、思いを充分に表明するとともに、社内外にしっかりと浸透するように定めましょう。
次回の記事では、経営活動を構成する要素のうち、経営戦略と経営計画について解説しますので、ぜひお楽しみに!
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